幼少年時代から臨終の時まで、つまり賢治の生涯と照らし合わせながら法華経との関連について真正面から論じた研究書は、本書が最初であると言っても過言ではない。しかも本書は、高校生や賢治愛好者に賢治の魅力をやさしく語りかけてきた著者ならではの分かりやすい解説と関連する図表など親切な工夫が施されており、格好の宮沢賢治入門書にもなっている。これから宮沢賢治の研究を志す者にとっては、まさに必読書であると言えよう。
牧野 立雄(本書「あとがき」より)