3匹の捨てネコと、
悪者が善人に変わる強い魔法の音楽
皆様こんにちは、暑いですね。
やっと月読かぐやと水元 若の朗読の2枚目のCD「やまなし」(宮沢賢治
作)ができました。(8月1日発売)
私もサウンドプロデュースと歌で参加しました。今回の音作りの一番の問題は、いかに、あの2人の独特な不思議な声とリラの波動を生のままできる限りCDに入れるかということでした。試行錯誤しながらエンジニアの浅野さんに作ってもらいました。宮沢賢治の童話の世界が心で読んだままよみがえるCDになったと思います。私も新曲「おきなぐさ〜風と草穂〜」を歌っています。ぜひ聞いて下さい。
そして、もしこのCDがいいな、と思って下さった方がいたら、ぜひ読んでもらいたいのは、熊谷えり子さんの「こころで読む宮沢賢治」です。私は熊谷さんの賢治の講座に出てお話をきくと、いつも曲が生まれます。この「おきなぐさ〜風と草穂〜」もピアノアルバムもみんなそうして出来たものです。熊谷さんは透明な賢治の世界への案内人です。このCDの童話とその解説はみなこの本に入っています。
これで私は去年の秋から続いていた一連のCD製作とコンサートの仕事がひと区切りつき、今、少し夏休みなのです。少し休んで又次の仕事にかかろうと充電中です。
毎日家にいて、本を読んだりおいしいスパゲティやお菓子やパンを好きな時に作って食べたり、ネコの世話をしたりして過ごしています。……と言うと、とても優雅そうですけど、実情は三匹の子ネコがやって来て、九匹になった我家のネコ軍団に家中ふりまわされてすごい情況なのです。父などは「あー、ネコのいないきれいな家に住みたい」とため息ばかりついてます。でもその割にネコ達にヘンに人気があって、いつも朝になると枕を取られて寝ているようですけど。
その新しく来たネコ達の話なのですが、4月の夜、北鎌倉の線路沿の道を歩いていたら、かすかに空耳のように、どこかでネコの声がするのです。さがすと、ゴミステーションのわきの見えない所にビニール袋に入って捨てられているネコ3匹を見つけたのです。あけてよく見ると、生まれたばかりでゴミと砂にまみれ虫の息でした。生きているのに、ゴミにすてるとは! 絶体許さん! 私はものすごく怒り、すぐ家へ連れて帰りました(本当はネコの数はもううちで飼える現界をこえているのですが)。
絶対育ってほしいと、コンサート前でしたけど毎晩徹夜でみて何とか助かりました。可哀想に三匹ともお母さんネコを知らないらしく、あんなにひどい目にあっても人間の私をすっかりお母さんと思って甘えて来ます。ちょうどその頃作った植物の歌にちなんで、ぼたん、レモン、オレンジと名前をつけましたが、今ではすっかりまるまる太って3匹の子ブタのブー、フー、ウーのようになり部屋中を運動会しています。
私は今でもこの3匹の人間を信頼し切ったかわいい顔を見ると怒りがわいて来ます。ネコに限らず、こういう口もきけず、体も弱く、地位も無く、物がわからないので自分を守ることができない、そういうもの達の弱みにつけこみバカにしたり、利用したり、ゴミのように扱う者達は絶対許せないと思います。こういう悪者達が、ちょっと聞いただけでもすっかり善人に変わってしまう、強い魔法の音楽を絶対作るぞ、と思っているのです。
というわけで、この次は植物の歌のCDを作ります。植物はいつも明るくやさしく善意でいっぱいです。人の心の暗い影を消してくれるうたを歌っています。この植物達のけなげな愛の歌をソックリCDに入れたいと思っています。
この間「もう一度ヴェニスに行きたい」と言う83才の大叔母のお供で、父と三人でイタリアへ旅行しました。レモン畑がずーっと続く道で、この前作った「レモンの歌」を歌ってみました。そしたら、何と! 次々レモンの木達が私の歌に合わせて合唱を始めたのです。歌い終わると、今度は自分達の歌をうたってくれました。それはきれいな曲で、すぐ録音しました。こういう曲ができる時の植物達のお話もたくさんあるので又書いてみたいとも思っています。
大きなコンサートはしばらくお休みですが、8月11日は「リラ自然音楽クラブ」の「宮沢賢治の世界」のライブリーディング(癒しの朗読と音楽の会)にかぐやと若と一緒にちょっと出ます。そして、8月31日は横浜の病院でのコンサートです。入院患者さん達のために歌います。
それでは暑いけれど、皆様どうぞお元気で、又秋に!
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