海のイメージが強い鎌倉ですが、中心部を滑川(なめりがわ)が流れているおかげで、そこかしこに橋がかかっています。朱塗り、石、「目立たないけど実は橋」というものなど、形も様々。研究所に近い滑川橋や海岸橋など、大型車も通れるような橋だけでなく、小さい橋もたくさんあり、歌ノ橋、華ノ橋、虹ノ橋といった美しい名前の橋もあります。
写真は、辻説法通りをちょっと入った所の橋で、風情のある和風建築が並ぶ閑静な一角にあります。新緑の頃になると川に大きく張り出す木々が美しく、ちょっとした渓谷のような趣があるのでよく渡りに行きます。せせらぎに交じって山鳥の声が響き、川面をふき抜ける風がとても気持ちがいい場所です。今日、橋の名を確かめてみると「ことひきはし」と書いてありました。なんと美しい。リラみたいです。調べると、橋の東側にある山、小御所ヶ丘(こごしょがおか)にかつて「琴弾の松」と呼ばれる松があり、この松の枝が風にゆれると、琴を弾くように美しい音がしたことが名前の由来だとか。ますます、リラみたいです。比企ヶ谷(ひきがやつ)にあった小御所には、二代将軍頼家の子・一幡が住んでいました。その母・若狭局は前回とりあげた妙本寺の比企一族です。比企ヶ谷は、ほんとうに広大です。
(リラ自然音楽研究所から徒歩約20分。鎌倉駅から約6分)
<道案内>
鎌倉駅から行く場合、若宮大路を八幡様方面へ進み、二の鳥居手前、鎌倉警察署前交差点を右折。警察と駐車場の間の道を辻説法通り(小町大路)に向かって直進します。自然食品店スリービーンズのあるT字路を左折し、2〜3軒先の路地を右折、直進するとすぐに赤い欄干が見えます。妙本寺の山門を左折しても辿りつけます。
2010年6月号掲載