滑川(なめりがわ)の支流のひとつ逆川(さかさがわ)は、水源から南下する途中で大きく屈曲し、まるで北上するように見える箇所があるのでそう呼ばれているらしいです。中上流域は祇園山の東側にあり、谷戸には新旧の住宅がびっしり。道路と家々の間を縫うように走る細い水路には小さな橋が無数にかかり、ほんとうに風情があります。それだけでも十分素晴らしい地区なのですが、実はこの川で蛍を見ることが出来るのです。住宅地なのに、です。先日は、寒くて風もあり好条件ではなかったのですが、たくさんの蛍を見ることが出来ました。青白く光り、ゆっくりと明滅する源氏蛍は奇跡のような美しさでしたが、生息は奇跡ではなく地元の方々の長年の努力の賜物だと知りました。40程年前から個人で保全に取り組んでいた方が25年前に活動を組織化して仲間も増え、蛍の数も増えてきたとのこと。はじめる時はひとりでも助けてくれる人は現れるものですね。
そう言えば、何処で待てば蛍さんに会えるのか調べても分からないので、明るい時間に全域を下見したのですが、その時私にも助っ人が現れました。光るような青い羽を持つ一匹の美しいしじみ蝶さんが場所を教えてくれたのです。夜になって、その助言が正しかったと分かりました。
(リラ自然音楽研究所からも鎌倉駅からも、徒歩25分くらい。名越バス停から徒歩10分程度)
<道案内>
和菓子大くにのある「大町四ツ角」を逗子方面に向かいます。バス通りの左側にあるローソンと名越バス停の間にある細い川が逆川です。左に折れると川沿いに生活道路がありますが、途中暗渠になったり、民家の庭先に回ったりします。6月上旬の19~20時ごろがいいようです。来年も見られるように、みんなで自然を守っていきたいです。
2010年7月号掲載