長谷の消防署の裏から度々御神輿が出てくるのに遭遇し、神社があるとは気付いていたのですが、中々訪ねる機会がありませんでした。その後、別の調べもので、付近に甘縄神明(あまなわしんめい)神社と安達景盛屋敷跡があると知りました。甘縄神明神社は、実は鎌倉でいちばん古い神社で御祭神は天照大神と四柱です。710年に僧行基が草創し、染屋太郎時忠が山上に神明宮(しんめいぐう)を、山下に円徳寺を建て、後に甘縄院としたのが始まりとか。源頼義がこのお社に祈って八幡太郎義家を授かったという伝承もあり、源氏と深い縁のある神社として頼朝や政子も度々参拝したようです。この辺りは、奈良平安時代の古い東海道らしく、切通(きりどおし)から鎌倉に入る交通の要所でした。万葉集に詠まれた「鎌倉の見越しの崎」は、社殿裏の御輿ヶ嶽(みこしがたけ)と言う説もあるようです。
神社は、本殿を通して奥の院が見える二重構造。右手に苔むした階段と小さいお宮があり、前回来た時は雰囲気ありすぎで恐くて登れなかったのですが、今回は勇気を出してお参りし、そこから奥の院の写真を撮りました。鬱蒼とした森に囲まれた奥の院には厳かな空気が満ちて、不思議な佇まいを感じました。境内は長い階段を登った高台にあり、相模湾が見えます。
(リラ自然音楽研究所から徒歩約11分。鎌倉駅から約20分)
<道案内>
由比ケ浜大通りを長谷寺の方に進み、文学館入口交差点の先、鎌倉消防署長谷出張所の手前を右折すると正面に鳥居が見えます。神社の左手には川端康成記念館があります。たい焼き「なみへい」は、氷もとても美味しかったです。
2010年10月号掲載